LDCレポート【3月号】
■人気があるのも納得、バナナ
スーパーの入り口に並ぶカラフルな果物。シーズンによって入れ替わり、それが季節感を打ち出している中で、季節を問わず並んでいるのがバナナです。手頃な価格であることや、皮をむくのが簡単でおいしいことから、〝よく食べる果物″として長きにわたってトップの座を守り続けています。 バナナは東南アジアの熱帯地域を原産地とする植物で、偶然できたタネのないバナナの苗を栽培化したのが、今のバナナのルーツです。ひと口にバナナといっても「生食用」と「料理用」があり、全部で300もの種類があるのだそう。日本に初めてバナナが輸入されたのは1903年(明治36年)でしたが、この頃は市民には手の届かない高級品だったそうです。 マラソンなどの長距離レースで、給水所に置いてあるのを見かけることもあって、高カロリーと誤解されがちですが、実は1本あたり約86キロカロリーほど。約250キロカロリーの茶碗1杯のご飯の3分の1程度です。さらにビタミンB群、カリウムや食物繊維、マグネシウムなどがバランスよく含まれており、「シュガースポット」と呼ばれる茶色い点々が出現した完熟バナナにはポリフェノールが含まれることがわかりました。最近は、血圧を下げるバナナもあり、機能性表示食品としても注目されています。 買ってきたバナナを保存する時は、山型に伏せて置くか、吊り下げて。ミキサーがあれば近頃話題のバナナジュースも楽しめますし、定番の冷凍バナナやバナナブレッドも簡単で、アレンジが手軽なのもポイントです。
※参考: バナナ大学 https://www.banana.co.jp/ 株式会社スミフルジャパン https://www.sumifru.co.jp/ 株式会社ドール https://www.dole.co.jp/ 農業協同組合新聞 https://www.jacom.or.jp/ 株式会社日本アグリプロモート https://www.japro-agrinet.com/
■市販薬?大衆薬?今はOTC医薬品と呼ばれています
季節の変わり目は寒暖の差が大きく、体調の変化が起きやすいと言われています。体調不良の時に頼るものといえばくすりです。薬局やドラッグストアで買えるくすりは、かつて「市販薬」とか「大衆薬」と呼ばれていましたが、今はOTC医薬品と呼ばれているのをご存じですか? OTCとは、オーバー・ザ・カウンター(over the counter)の略。カウンター越しにくすりを販売することに由来した名前で、2007年に呼び方を変更・統一したものです。背景には国民医療費の増加があり、その対策の一つとして自分の健康は自分で守るという「セルフメディケーション」の提唱があります。 OTC医薬品は、年齢も性別も体格もわからない人に販売されることを前提にしているため、くすりの有効成分は医療用医薬品に比べると少なめです。また総合感冒薬のような、できるだけ多くの症状に対応できるようにつくられているのも特徴です。さらに成分などによって「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分類され、要指導医薬品は薬剤師の説明を受けなければ購入できません。 一般用医薬品についてもリスクが高い順に分類されていて、第1類は薬剤師による情報提供が義務付けられています。第2類は薬剤師が不在でも登録販売者がいれば販売ができるので、許可を得たコンビニなどでも扱いがあります。風邪薬や解熱鎮痛薬といった、身近なくすりが当てはまります。第3類にはビタミンB、C含有保健薬や整腸剤などがあります。くすりの箱に入っている説明書を読んでもわからない、疑問がある、異常を感じた、そんな時は、買ったお店の薬剤師や医薬品登録販売者に相談しましょう。 人類は病気と向き合いながら、植物や動物、鉱物など自然界の中で、病気に効くものを見つけるなどの知恵を身につけてきました。松尾芭蕉は旅先で胃痛になってくすりをもらい、「薬飲むさらでも霜の枕かな」という句を残しています。いつの時代もくすりは病気やケガを治す手助けをしてくれ、人々の健康に貢献してくれているのですね。
※参考: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 https://www.pmda.go.jp/ くすりの博物館 http://www.eisai.co.jp/museum/index.html 日本OTC医薬品協会 https://www.jsmi.jp/ 製薬協 https://www.jpma.or.jp/ 第一三共ヘルスケア株式会社 https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/
■もしもの時の、砂糖のちから
年度末のこの月は、毎日が慌ただしく過ぎていくように感じる方も少なくないのではないでしょうか。ちょっと疲れた時に甘いものをいただくと、頭や体が元気になりますよね。 そんな「甘いもの」に使われるのが砂糖。3月10 日は「砂糖の日」ということで、お砂糖の話題をお届けします。 砂糖とは、ショ糖を主成分とする甘味物質をいいます。日本には奈良時代、唐の僧侶・鑑真和上によって薬として持ち込まれました。江戸時代には製糖技術が広まりましたが、庶民の口に入るようになったのは明治時代になってから。それまではとても貴重なもので、位の高い人だけが口にできる贅沢品だったのです。時代が下り、現代の日本ではいつでも甘いものが好きなだけ食べられるようになりましたが、意外なことに国民1人あたりの年間砂糖消費量は、世界の平均消費量の22.1kgを下回る16.2kgと主要20か国の19位。ちなみに1位は57.4kgのマレーシアです。 砂糖は「精製糖」と「含蜜糖」の2種類に分けられます。不純物を徹底的に取り除いたものが精製糖で、上白糖やグラニュー糖、三温糖などが当てはまります。日本で消費される砂糖の50%を占めている上白糖は、日本独自のもの。外国で砂糖といえばグラニュー糖ですが、日本では醤油との相性が良い上白糖が、調味料として幅広く使われるようになったのだそうです。一方の含蜜糖は黒糖で知られ、コクがあります。よく黒糖にはミネラルが含まれているが、白砂糖は体に良くないなどと言われますが、そんなことはありません。 また砂糖には賞味期限がありません。長期保存ができるので、氷砂糖などを防災時の備蓄食料として保存しておくことをおすすめします。ストレスがたまる非常時に、甘いものが効果的というのはよく知られていますね。3月10日の砂糖の日は、非常食としての砂糖の重要性を訴える日でもあるのです。
※参考: 独立行政法人農畜産業振興機構 https://www.alic.go.jp/ 精糖工業会 https://seitokogyokai.com/ 日新製糖株式会社 https://www.nissin-sugar.co.jp/ 三井製糖株式会社 https://www.mitsui-sugar.co.jp/ 株式会社ロッテ https://www.lotte.co.jp/ データ出典/国際砂糖機関年鑑(2019年度)