LDCレポート【2月号】
■ヒートショックと血圧と塩分のお話
寒さが厳しい季節ほど熱ーいお湯につかってあたたまりたくなりますが、気を付けたいのが「ヒートショック」です。急激な温度の変化で血圧が大きく変動することで起こる健康被害をいい、失神や不整脈、心筋梗塞を起こすことがあります。
私たちの体は寒さを感じると、熱を逃がさないよう血管を収縮させて血圧を上げますが、入浴時は脱衣した時は血圧が上がり、お湯につかると血管を広げて血圧を下げ、短時間で何回も血圧の変動を繰り返すため、体に大きな負担がかかります。浴室や脱衣所を暖めておく、お湯の温度は41℃以下にする、最初にかけ湯をしてお湯の温度に体を慣らすなど、温度の落差をできるだけ少なくするのが、冬の安全な入浴方法といわれています。
さて、血圧の「上」「下」などは日頃からよく使われていますが、そもそも血圧とは心臓が動脈に血液を送り出す時の圧力のこと。「上の血圧」とは最高血圧ともいい、心臓が縮んで勢いよく血液が流れ出し、血圧が最も高くなった時の値で、「下の血圧」は最低血圧といい、心臓が広がって血流が緩やかになり、血圧が最も低くなった時の値です。最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上が慢性的に続くことを高血圧といい、さまざまな疾患を引き起こすことが知られています。国内のおよそ4千万人が該当しているといわれ、もはや国民病のひとつでもあります。
高血圧は、塩分の摂り過ぎと切っても切れない関係があります。人間の体の中は、水分と塩分が一定の濃度に保たれていますが、過剰な塩分を摂取すると濃くなった塩分を下げるため体内に水分がたまり、結果心臓に送り込まれる血液量が増えて血圧が上がってしまうのです。
高血圧を予防するためには、塩分を控えた食事を心がけましょう。減塩食品などを上手に活用し、薄味に慣れることも大切です。また、お刺身やとんかつなどのソースや醤油は、直接かけるよりも小皿などにとってつけて食べる方が量が少なくすみます。寒い季節にはいつもより少し血圧を意識し、健康的な生活を送りたいものですね。
※参考
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター https://www.ncvc.go.jp/hospital/
花王株式会社 https://www.kao.com/jp/
一般社団法人 日本ガス石油機器工業会 https://www.jgka.or.jp/
株式会社ノーリツ https://www.noritz.co.jp/
特定非営利活動法人 日本高血圧学会 https://www.jpnsh.jp/
神奈川県ホームページ https://www.pref.kanagawa.jp/
■魔目?魔滅?魔芽!豆まきの謎
今年もやって参りました、節分。神社やお寺などで著名人を招いて大きな豆まき行事が行われるところもあり、2月の風物詩としても定着していますね。コロナ禍の中、例年とは行事の形や方法が異なるという話も聞かれますが、鬼とともにウィルスも追い出したいと思うのは世界中の人々の願いかもしれません。
節分とは、旧暦で1年の初めとなる立春の前日のことで、いわゆる大みそかにあたります。この日に豆をまくのも大みそかに関連していて、豆を投げるのは、邪気や魔物(鬼)を追い払い、新年に幸せを呼び込むためです。投げるものが「豆」の理由は、「まめ」を「魔目(まめ)・魔滅(まめ)」とかけて、魔物の目にめがけて投げると魔を滅ぼすという意味なのだとか。古来、果実や穀物には精霊が宿っていると伝えられ、豆は邪気を祓う霊力があると信じられていました。ちなみに炒った豆「炒り豆」を使うのは、外にまいた生の大豆が発芽するのは「魔(ま)芽(め)」で縁起が悪いからだそうです。
豆まきの慣習は室町時代に武家の間で広がり、江戸時代になると庶民へと広がりを見せました。現代の豆まきは、元気よく豆をまきたいところですが、マンションなどの集合住宅や、隣家と密接した住宅事情ではなかなか難しいこともありそうです。共用部分に散らばった豆が思わぬトラブルになるケースもあるとか。いまどきの「豆まきお作法」は、(1)窓・玄関ドアを閉めて(2)遅すぎない時間帯に(3)おうちの中で、を基本に奥の部屋から玄関に向かって「鬼は外」、そして室内で「福は内」。鬼を外に追い出すのが目的なので、方角や鬼門を気にする必要はありません。
また、部屋の中が豆だらけになるとあとの掃除が大変なので、豆をラップで包んだり殻付きの落花生をまくというのもおすすめです。
最近は、節分=恵方巻の慣習が定着していますが、今年は豆まきをして魔物を追い払ってみませんか?
※参考:
HugKum(はぐくむ) https://hugkum.sho.jp/
DCM株式会社 https://www.dcm-hc.co.jp/
株式会社ノジマ https://www.nojima.co.jp/
■惑星から準惑星となった冥王星
世の中にはさまざまな「〇〇の日」があり、イベントが開催されたりニュースなどで取り上げられることもたびたび。でもこの日、2月18日に関しては話題にもならないかもしれません。
2月18日が冥王星の日だというのは、ほとんどの方がご存じないのではないでしょうか。92年前の1930年(昭和5年)のこの日、アメリカ人天文学者のクライド・トンボーにより冥王星が発見されたことに由来して制定されました。
84年ぶりに見つかったこの惑星(当時)は、プルートと名付けられました。プルートとはギリシア神話に登場する、死者と冥界、暗黒の神の名前です。太陽から非常に遠く、明るさも15等星ととても暗かったことから命名されたと言われます。こうして冥王星は太陽系9番目の惑星として、私たちも学校で「水金地火木土天海冥」と習ったのです。
ところがその後の観測で、地球とほぼ同じと思われていた冥王星の大きさが実は月よりも小さいこと、太陽の周りを回る軌道が他の惑星とは異なることなどが判明。さらに、2006年チェコのプラハで開かれた国際天文学連合総会で「惑星の定義」として、太陽の周りを回っていること・重力が強くて丸いこと・軌道周辺で群を抜いて大きくて他に同程度の大きさの天体が存在しないこと、と定義されたことで、冥王星は「9番目の惑星」なのか、という議論が発生しました。さらに大型望遠鏡の登場で、冥王星付近に数千個に及ぶ類似の小天体が次々と発見されたことから、惑星とは見なされず、準惑星となったのです。衝撃的なニュースとして世界を駆け巡ったのは記憶に新しいところですね。
くしくも2006年は、アメリカ航空宇宙局NASAが発見者トンボーの遺灰を乗せた惑星探知機「ニュー・ホライズンズ」を打ち上げた年でもありました。2015年、9年半の時を経て冥王星に最接近。鮮明な冥王星の画像は、世界中の人々を驚かせ熱狂させたのです。
20世紀になってから発見された、太陽系の果てにある冥王星。その神秘な世界をのぞいてみませんか?
※参考:
国立科学博物館 https://www.kahaku.go.jp/
中日新聞web https://www.chunichi.co.jp/
三菱電機株式会社 https://www.mitsubishielectric.co.jp/
日本気象協会 https://tenki.jp/