LDCレポート【11月号】
■バターにこだわる人、増えてます!
家で過ごす時間が長かった今年、料理やお菓子作りの腕を磨いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 料理やお菓子作りに欠かせない食材の1つがバターですが、最近は外国産のものを見かけたり「〇〇のバターを使ったお菓子」とアピールされるなど、バターそのものの人気が高まっています。 バターは、生乳などから作られたクリームをかくはんし、脂肪粒を集めて固めたもので、1箱分にあたる200グラムのバターを作るのにおよそ4.3リットルもの生乳を必要とします。その歴史はとても古く、紀元前2000年頃のインドの経典にバターと思われるものが書かれており、旧約聖書にも登場しています。世界中で食べられている乳製品でもあり、インドでは、溶かしバターを意味する「ギー」が儀式に用いられるなど、神聖なものとされています。 さて、バターには有塩と無塩がありますね。有塩タイプは風味がよくトーストや料理全般に適しています。無塩タイプは、お菓子作りやハード系のパンにおすすめです。余談ですが、生乳には微量の塩分が含まれていることから、最近は「無塩バター」と表記せず「食塩不使用バター」と表記されます。製法は2種類あり、1つは「非発酵バター」といい、これは日本の一般的なバターです。もう1つが生乳から分離させたクリームを乳酸菌で発酵させた、「発酵バター」です。ヨーロッパで主流のこのタイプは日本でも今、かなりの人気です。さらに最近では牧草だけを食べて育った牛のミルクでつくる「グラスフェッドバター」も注目されています。 バターはコレステロールを多く含むとされていますが、トーストに塗ったり料理に使ったりする程度なら心配ありません。また、食用油脂の中では消化が良くビタミンA、E、Dも含まれています。 生乳と塩だけでつくられるバターは原料がシンプルな分、製法や生産国、牛が食べているものによって、風味や味に驚くほど違いが生まれます。それだけに奥が深く、食べ比べる楽しみも。バターを替えるだけでいつものパンが驚くほどおいしく、リッチな気分になりそうです。
※参考: 一般社団法人Jミルク https://www.j-milk.jp/
株式会社明治 https://www.meiji.co.jp/
雪印メグミルク株式会社 https://www.meg-snow.com/
よつ葉乳業株式会社 https://www.yotsuba.co.jp/
片岡物産株式会社 https://www.kataoka.com/
株式会社三越伊勢丹ホールディングス https://www.imhds.co.jp/
楽天株式会社 https://www.rakuten.co.jp/
■利用してみませんか?地域包括支援センター
総務省の人口推計によると、日本で65歳以上の人口は3500万人を超え、総人口に占める高齢者の割合も28.7%と過去最高に。世界でもっとも高齢化が進んでいます。 お年寄りが暮らしやすいよう、国もさまざまな施策を打ち出しており、その1つが地域包括支援センターです。公的機関であり、2005年の介護保険法改正にともなってつくられました。要介護の申請をする際に出向くところと認識されている方が多く「介護が必要な高齢者のための機関だから、健康な自分には関係がない」と思われがち。そのため、お年寄りの暮らしをサポートするさまざまなサービスを行っていることは、あまり知られていないかもしれません。 例えば、しつこい訪問販売業者に困っている、年金など自分の財産について悩んでいる、などの高齢者本人からのSOSはもちろんのこと、高齢の両親が心配といった家族からの相談や、ご近所のお年寄りが困っているようだ、などの近隣住民からの相談も受け付け、必要な行政・医療・福祉サービスにつないでくれます。介護予防を目的とした相談も可能です。地域包括支援センターをひとことで言うなら、「高齢者をワンストップで支援する相談窓口」といったところでしょうか。 ちなみに、離れて住む親の相談をする場合は、親の居住する場所での相談が必要です。いざというとき活用できるよう、居住する市町村のホームページ等であらかじめ確認しておくとよいでしょう。 住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、元気なうちに時間をつくって地域包括支援センターを訪れてみませんか?
※参考: 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp
一般財団法人 長寿社会開発センター https://nenrin.or.jp/
朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/
日本経済新聞 https://www.nikkei.com/
セコム株式会社 https://www.secom.co.jp/
データ出典/「人口推計」(総務省統計局)
■活躍する不織布
今年は年明け早々から多くの人がマスクにお世話になりました。使い捨てのマスクに使われる素材といえば不織布、その名の通り「織らない布」のことです。布には、経糸と横糸で織られる織物(布帛)、1本の糸で編んでいく編物(ニット)がありますが、不織布はそれらに続く第3の布と位置づけられています。 不織布は、繊維を織ったり編んだりせず、細かい繊維を重ねて熱や接着剤でシート状にしたもの。1920年代ドイツのフェルト業者が毛くずなどを集めて接着剤で固めたことに始まります。その後ドイツやアメリカで研究が進み、日本では1950年代に製造が始まったといわれています。原材料は、コットンや羊毛などの天然繊維や、レーヨンなどの化学繊維、ガラス繊維など無機繊維、ポリプロピレンなどの合成繊維で、「繊維」と名のつくものはほぼ原材料にできます。最大の特徴は、ポーラスといわれる多孔質構造で、通気性と濾過性に優れていること。保温性もあり、用途によって柔らかさや強度を変えることもできます。 マスクの代名詞のような不織布ですが、掃除用のシート、紙おむつやウェットティッシュ、ティーバッグなど暮らしに密接したもののほか、車やエアコン、農業用の防草シート、建築用の養生シート、病院で使用する手術着など、まさに私たちの生活に欠かせないといっても過言ではありません。意外なところでは、電池の中身にも使われているそうです。 織物が、エジプト文明やメソポタミア文明より古い旧石器時代につくられていたという長い歴史を持つ中、不織布は誕生してからわずか100年ほど。ですが、衣食住どの分野においても、わたしたちの暮らしになくてはならない素材といえます。
※参考: 日本不織布協会 https://www.anna.gr.jp/
日本化学繊維協会 https://www.jcfa.gr.jp/
日本バイリーン株式会社 http://www.vilene.co.jp/
前田工繊株式会社 http://fushokufu.co.jp/
池田紙業株式会社 http://www.ikedashigyo.co.jp/
上田市デジタルアーカイブポータルサイト https://museum.umic.jp/